2011年5月23日月曜日

定石

夕方から学生実験の作業。プレストレスの導入とグラウト注入。前回の1回目は、ビデオで撮影されながらレクチャーし、今回は2回目なので、学生に任せて行うのを横で確認していた。

始めるにあたり、前回は学ぶのが精一杯であっただろうから、本日の作業を行いながら手順書を作るように指導する。マニュアルは、次回以降それをまねしてしまうので余り作りたくないが、今回の場合にはプレストレスという危険な作業であることから、危険に対処するための手順書という位置づけである。私がこのような手順書を作ろうとする際には、一般的な、理由もないリストは作るつもりはない。なぜそうなのか、や、あまりこだわらなくてもよい作業なのか、などを区別しながらはっきりさせて、仮に変更が必要になった際に、その人が判断できる内容も沿える、という独自のものである。

注釈が多いということになるだろうか。注釈といえば、畑村氏の本は多いと思うが、私もこういう文書を作ることになると、自ずと書きたくなるのが不思議だ。

さて、作業を観察していると、学生は自分たちで理解したとおり行っているものの、独自解釈であったり、趣旨を理解していなかったりで結構間違えていた。彼らにとっては1回目であるから、間違えること自体はしょうがないと思っているので、ではなぜいけなかったのかを、きちんと説明した。

前回ビデオを撮影しておきながら、なぜこうなったのかについては、その後フィードバックしていないだけであるが、そもそもそのシチュエーションはよくある失敗例に近い気もして、継続して検討したい。要は、手順書を見ないことによる失敗、である。ビデオだけでは、わざわざ見る気にもならず、結局見なかった例である。

さて、全般的に感じたことであるが、「○○と思った」から行動した、というミスである。そもそも思ったことが間違っているのである。Aと教わっていたことであるが、それはBに変えたほうがよいと勝手に思って変更したことによる、別の問題が生じている。これが、関係者も含めて初めての経験であれば、しょうがないだろう。しかし、そうではないし、しかも、前回ビデオの前で私は話している内容である。サラッとではなく、何度も強調して。

ここでは、私が強調したことを理解していないことを責めているのではない。伝わらないことがわかっていたので、フィードバックする機会を設定している。

一歩成長するためのコツ。まずは、謙虚にその通り従うこと。次に、従うことの理由を完全に理解すること。完全に理解してメリットもデメリットももわかったところで、初めてオリジナリティを加えて変更することができる。

研究の取り掛かりも似ている。研究テーマは教員側から与えられる。その段階では学生のものではない。ある程度のバックグラウンドと初回の切り口もたいていの場合教員から与えられる。初回の発表のパワーポイントなんて、学生のオリジナリティは殆どない。しかし、教員から与えられたこれらのエッセンスを自分で消化して自分の言葉で発することができた段階で初めて理解したことになり、そこから、自分の発展ができる。

学ぶということは、何にしても同じではないだろうか。

示方書の改訂についても、示方書勉強会で痛いほど学んだ。いや、まだ学びきれていない。

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