2013年1月23日水曜日

好奇心

昨日学内で、レントゲン車のような見知らぬ車が停まっていた。再度通った際に、車の後ろから、何かアームのようなものを伸ばして、何かを計測しているようだ。一瞬、Googleストリートビューかと思ったが、違う。用事があったので、そのまま通り過ぎた。

夜、帰宅途中、再度その車にすれ違った。気になる。これは、もう聞くしかない、と思い、自分の車を停めて、話を聞きに行った。担当の方は丁寧に説明してくれて、横浜国大の学内の車道のアスファルトとに発生している多数のひび割れについて、その原因を探るために地盤内部の劣化状況を計測しているとのこと。計測時には、車内にある錘を地面に落下させて、同時に、後ろから伸びている複数のセンサーを地面に直接当てて、そのインパクトの伝達を計測するものだという。

多分、地盤や道路について専門にしている人であれば、普通の技術なのだろう。詳細はわからないが、そういう機能を持った車があるということは認識した。錘の重さを変えて、コンクリート構造物にも適用することがあるとおっしゃっていたので、そういう意味では、私の勉強不足も露呈した。

何かわからないけれども直感で、これ何?、これ知りたい、と思う事が、生活していてたまにある。そのような時、私は行動に移すことが多い。先日も、空き地でボーリングしているような作業員の方に聞いたら、それが、N値の試験であった。教科書と、実際のことが一致した。

ああそうですか、で終わることもあるけれども、こうやって自分からアクションを起こして聞いたことは、結構鮮明に記憶に残る。実験や現場測定で役に立つことも、結構ある。

たまたま昨日、出張中に細田先生が読み終わった羽生さんの直観力を戴いて読み終わったが、多少似たようなことも書かれていた。結局は普段の過ごし方、にある、と私は感じた。

研究室においても、自分の研究テーマは狭いのだから、土木技術者の卵として、研究室内で行われている他の実験やイベントには興味を持つように、と私は言っている。少なくとも私は学生時代から今までそうやってきた。私の体の半分は、このような好奇心でできている。

これまた昨日読み終わったのだが、畑村洋太郎氏が委員長を務めた、福島第一原発政府事故調査委員会の報告書は1000ページにもなる大作なので、時間と労力がないと読めないのだが、本人らによる、解説資料が発刊されていて、読んだ。国会事故調より後に出ていることもあり、国会事故調のここは間違いだ、ということも書かれている。(何が間違いなのかは、後出しの方がよく見えるので、精査は必要であるが)

原発事故自体の本質については、きちんと報道されていたが私がキャッチできていないだけなのか、そもそも正確に報道されていないのか、何とも言えない。確かに言えるのは、私はこの本を読むまでは詳細を説明できない状態であった。

この本によると、直接の原因が全電源喪失というのは間違いで、実際にはその電源を使うための「配電盤のほぼ全数が浸水して使えなくなった」というのが直接の本質だった、という。この本は、放射能被害や、その後の原発のあり方、等については一切触れていない技術資料で、今のトレンドではないが、後半の畑村さんの失敗学的観点も含め、とても勉強にある。読んでいても、日々の生活、研究とくに実験、ということに対して、数多くの示唆をもらった本である。

この本は、多少荒削りなところもあって、略号が初出時に説明が無かったり、電気回路の知識がないと理解できない所も多数あるので、万人向けではないものの、淡々と事実を記載しているところと、著者らの考え、解説もちりばめられており、読んでいてすっきりする。




追記。
先日紹介された、小林よしのりの、脱原発論がそろそろ届くので読む。今は事故調査委員会だけに焦点を当てていたが、ざっと調べてみると、複数の事故調査委員会報告書を串刺しに検証した本が多数出ているようなので、複数読んでみたい。1つだけの委員会の主張を聞くのも、バランスが取れていない気がしてきたので。

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